この世界の危機にあたって思うこと②

地球1個分で暮らすこと

 豪雨は、地球温暖化がもたらした人災であるとも言えます。一人一人が地球1個分の暮らしを取り戻しなさいという、天からの啓示だと私には思われます。

 先ほど紹介した水田和夫氏が日経ビジネスの記事で、次のように述べています。(https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00261/022500002/)

「日本では年間40億点もの衣料品が供給されており、そのうち10億~15億点が売れ残って廃棄されるそうです。・・ 日本全体で年間に購入される衣料品が仮に30億点とすると、日本人1人当たり年25点を買っている計算になります。・・着ることなくタンスに眠っている衣料品はたくさんある。」

今は衣類が安く手に入りますから、買いすぎても家計にはそれほど響かないかもしれませんが、地球に与える負担は無視できません。

 

「ファッションと環境」調査結果(日本総研)によれば、

https://www.env.go.jp/policy//pdf/st_fashion_and_environment_r2gaiyo.pdf

  • 国内に供給される衣類から排出されるCO2(原材料調達から廃棄まで) は95百万トンと推計、これは、世界のファッション産業から排出されるCO2の4.5%に相当
  • 国内に供給される衣類の生産に必要な水の量は83.8億m³と推計され、これは、世界のファッション産業で消費される水の9.0%に相当

さらに、世界全体については、このような記事も

   (https://www.businessinsider.jp/post-200862)

「大量の水の使用、そして85%はゴミに…ファッション業界は環境へ大きな影響を与えている」

ファッション産業は、人間の活動によって排出される二酸化炭素量の10%を排出し、2番目に水を多く消費する産業であり、マイクロプラスチックで海を汚染している。

 2014年に消費者が購入した衣類は、2000年に比べて60%増加したが、着用する期間は半分に。

 衣類の洗濯により、毎年50万トンのマイクロファイバーが、海に流れ出ている。これは、500億本のペットボトルに相当する。これらのマイクロファイバーの多くはポリエステルだ。ポリエステルは衣類の60%に含まれていると推計され、製造の際には木綿製品の2~3倍の二酸化炭素を排出し、海に流れ込んでも分解されない。

 

 だから私は、今まで以上に衣類の自給を考えていきたいと思うのです。地球規模の災害が起きているときに、糸を紡ぐことに何の意味があるのだ?と思われる方もあるでしょう。しかし、繊維産業が地球温暖化に寄与しており、深刻な環境破壊を引き起こしています。そして、身近な衣類だけに、私たち一人一人にできることも数多くあります。

 私は、糸を紡ぐことから、地球一個分の暮らしの第一歩を踏み出したいのです。

 

精神的満足が無駄を終わらせる。

 やたらと物を溜め込んでゴミ屋敷化(衣類も溢れています)してしまう背後に、精神的な病理があるようです。手仕事は心を癒してくれます。

 千円足らずでTシャツが買える時代に、糸を紡いで、機織りをして、仕立ててと、膨大な時間をかけて衣類を作ることの意義を、お金の観点から見出すことはできません。しかし、「自分のこの手が服を作りだせるのだ」と、知った時の自信・満足感はお金で測ることができないものです。

 作る歓びを一度知ってしまうと、買うことに興味がなくなります。

 だから私は、無駄を終わらせようと叫ぶよりも、作る歓びを伝えたいのです。そうしていくことが、ゴミ屋敷を減らし、地球温暖化を食い止めていく方向につながると思うからです。