足るを知る

手作業ではたくさんのものはできませんが、そのうちに「たくさんは必要ない」ということにも目覚めるようになります。たとえば私が初めて綿を育てようと思った時、ある農家の人が「これだけ全部使ってくれていいよ」と言われるので、私はうれしくて、広い面積の畑を借りて、綿の種をたくさん蒔きました。そしたらその後がとてもたいへんで、結局草取りも充分できず、管理もできなくて、蒔いた種のわりには、わずかな収穫しかあげることができませんでした。それからは徐々に、自分が管理できる面積というのはだいたいこのくらいだなということがわかってきます。そうすると、そんなに広い土地はいらないということがわかってきますし、たくさん収穫しても、紡いだり織ったりという作業もまたたいへんなので、あまり取り過ぎても意味がないということもわかってきます。また、実際にやってみて、自分の手で生み出すことに満足や喜びがあれば、自分が作るもので満足するようになりますし、毎年新しい服が欲しいとも思わなくなります。余分な買い物もしなくなります。そういうことを通じて環境問題も解決に向かうのではないかと思います。