株式会社と社会のための事業

「コスト削減で黒字確保に自信 株主総会でトヨタ社長」という見出しの記事が2020年6月12日付の山陽新聞に載っていました。

  

 コスト削減が人減らしでなければよいのですが・・・

 東日本大震災後に、わたしは東北に住んでいました。津波で工場を流された経営者が、従業員の雇用を守ろうと、必死で工場再建に尽力していた姿が、報道されていました。

 だから、なんだか、この記事に違和感を感じてしまったのです。雇用よりも黒字確保が優先されているように見えたのです。

 コロナの影響で、休業や失業を余儀なくされている人が増えています。自動車会社の下請け工場は、受注が大幅に減っています。そのような中でも、たとえば、座席シートを作っていた会社は、防護服やマスクの生産に乗り出したりして、必死でがんばっています。

 株主のために黒字を維持することよりも、下請けも含めた、働く人々の暮らしを守ることが優先される社会になって欲しいものです。

 そもそも株式会社は、会社の事業に賛同した人が出資して、出資がなけれ不可能な大事業を社会のために行うというのが、本来の姿だったはずです。それがいつの間にか、株主は株に投資して、利益を上げることが目的となり、会社は、株主に配当金を与えられるように会社経営をすることが目的となってしまいました。そして、社会のために意義のある事業をするという理念が後退しています。

 会社が大きくなりすぎた結果かもしれません。

 小さなことであっても、社会全体のためになること、一人一人が幸せに暮らせることを、一から始め直していくことが必要な時代が来ています。気づいた人から始めるしかなさそうです。