ガンジー経済学

『ガンジー経済学の採用を』2019年12月4日の山陽新聞に載っていた記事です。森永卓郎氏が「近所の人が作った農産物を食べ、近所の人が作った服を着て、近所の人が建てた家に住む。そうすればその地域に雇用が生まれ、経済が回り出す」と、ガンジー経済学を再評価しています。

 さらりと書かれていますが、言うは易しで、すっかり怠け癖がついた現代人にとって、実践は容易ではありません。「近所の人」と森永氏も書かれていますから、自分が手足を動かす気はないのかもしれません。しかし、自分が手を動かすことなしに、この世界を変えていくことはできません。

 だからこそ、過去20数年間、私は、自ら服を作るとともに、糸紡ぎのワークショップも開いてきました。しかし、服1着を作るのに必要な糸(500グラムから1キロの糸)を紡いだ人はなかなかいないです。心が癒される体験ができたことに満足して終わってしまう傾向があります。また、アクセサリーなどの小物の販売にむかったり、アジアの人々が作ったうさとの服の購入に走ったりと、本来の趣旨から外れてしまうことが多いです。

 もちろん、一人一人の事情に応じた取り組み方はあってもよいとは思います。子育てで忙しい方々には、癒しの時間としての糸紡ぎも意味のあることでしょう。

 しかし、ガンジー経済学とは、苦労を厭わず、自ら率先して肉体労働に汗を流すことです。ここから外れていくことには、警鐘を鳴らすことが必要だと、私は思っています。ガンジー経済学の実践は本当に大変な実践を伴います。しかし、それでも、私はこの難題から逃げることなく、挑戦を続けていきたいと思っています。